少数の無能問題


カーペットを更新しようと思って近所の家具屋さんに電話してみた。

お店Aは、配送は承るけれど敷いたりしない。ただ持っていくだけ。

お店Bは、もともと敷いてあったカーペットに乗っているタンスや机、本棚などをいったんどかして、新しいカーペットに取り換えてくれる、もちろん古いカーペット処分込み。

実はそういうことをやってくれるサービスはないかと探していたので、お店Bに決めた。

一人暮らしでよほどの若者でもない限り、重い家具を動かすのは簡単ではない。

結局カーペットなど更新せずに次に引越するまでそのまま放置というのが多そうだ。

自分がカーペットを売る立場なら、更新を諦めた人たちに購入させることができるのだから、カーペットの販売に家具の移動、張替のサービスを追加するのは妥当と思える。

電話に出た担当者は、家具の移動にいくらかかるのか見積を行うためにはいったん現場を見なければならないという。「じゃあ来てください」とお願いすると、見積を取りに訪問するだけで5,000円かかるので、先に店舗にきて商品を選んでもらった方が良いという。どちらでもよかったので「じゃあ明日行きます」と電話を切った。

翌日店舗に伺い、商品を選んで、サイズを伝えたのだが、ここからが長かった。

見積する人と、配達し、家具の移動と張替を行う人は同じ人間のようで、そのお店では職人と呼ばれていた。ぼくの予定とその職人の予定を調整するのに1時間半もかかって、担当者の女性は行ったり来たりを繰り返す。

「10月13日はどうですか」「いいですよ」「少しお待ちください」

といなくなって、しばらくすると戻ってくる。

「13日は10時以降なのですが、何時がいいですか」「13時で」「少しお待ちください」

いなくなって、しばらくすると戻ってくる。

「13時は都合が悪いそうです」「何時ならいいのですか」「少しお待ちください」

「10時なら空いているそうです」「じゃ10時で」「10月13日の10時で予約しました」「見積はいつ来ますか」「10月13日の10時に伺います」「その日が見積?じゃ張替はいつ?」「少しお待ちください」

またいなくなる。

「張替は10月20日以降になります」「じゃ20日で」「少しお待ちください」

いなくなってしばらくして戻ってきて

「20日は空いていないそうでして」「いつなら空いていますか」「少しお待ちください」

しばらくして戻り

「最短で10月27日だそうです」「そんなに先?」「申し訳ありません」「ということは、まず10月13日に家具移動費用見積りのために職人が来て、そこで金額が決まり、張替に来るのは10月27日だから、その間にぼくはもう一度ここに来なければならないというわけですか」「そうですねえ。銀行振り込みも可能ですが」「今ここで払おうと思いましたけど」「それでも結構です」「・・・じゃ見積に来る意味なくね?」「少しお待ちください」

万時こんな感じの進行で、時間かかった。

あまりに呆れたので、「お店の一番やりやすいようにやってください」としたが、この担当者の女性がおそらく

「お客がかなり怒っている」と報告したようで、最後は店長が出てきて、「10月13日に張り替えさせます、2度目の来店は不要だし、見積の手間も省きます」となった。

あらためて思い知らされるのは、人手不足の問題。職人の人数が一人か二人しかいないので、待機行列ができる。

そしてもう一つは、にもかかわらずの、社員が無能問題。情報伝達の搬送システムの役割しか担うことができず、しかも一度に搬送できる情報がたった1個の荷物だけ。

少子化問題は少数精鋭によって対処するならともかく、少数の無能しかいない社会が現れてきている。

そうなると少数の無能以外に頼るところはないので、少数の無能を大事に大事に扱っていくのが、自身の最善の生き方というものだろうか。


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